徳島県出身のミュージシャン米津玄師さん(24)が、ライブツアー「音楽隊」(全国12会場14公演)を行った。ツアーを終えた米津さんは「ライブに対する意識がだんだん変わってきて、より大きな規模で、より作り込んだライブをやりたくなった」と今後への意欲をのぞかせた。1月12日に徳島市秋田町のクラブ・グラインドハウスで行われた公演の模様と、出演後の米津さんの声を紹介する。

「帰ってきたよ、徳島!」

 ステージからの呼び掛けに、声援が飛び交った。「おかえり!」「待っとったよ」
 初の徳島公演とあって、会場は駆け付けた地元ファンたちの歓迎ムードに包まれていた。米津さんは「18年間育った故郷で、ライブができるって感慨深い」とゆっくり客席を見渡した。

 グリム童話「ブレーメンの音楽隊」を想起させる楽曲「ウィルオウィスプ」を皮切りに始まったライブ。米津さんは、ロングヒット中のアルバム「Bremen」の楽曲を次々と歌った。メーンで弾くギターだけでなく、バンドメンバーと共にドラムやキーボードの演奏も披露した。
 
「地元トーク」で曲の合間のMCを盛り上げた米津さん。慣れ親しんだフィッシュカツや竹ちくわが県外にないことを報告したり、「阿波弁しゃべって」という声に応えたり。客席が間近にある和やかな雰囲気に心がほぐれたのか、米津さんは「何回も言ってるけど言っていい? ただいま、徳島」と照れ笑いした。

 「すごく暗い、個人的なことを人さまに歌うべきなのか悩んだけど…」。ライブの終盤、米津さんは楽曲「ホープランド」を紹介した。「それが世界の全てじゃない」「あとは君次第」-。苦しみを抱える人を勇気づけるような歌声に、観客は息をのんで聴き入っていた。

 「ライブが終わって日常に戻っても、両親や恋人など身近な人をより一層大事にできるライブにしたかった」と語り掛けた米津さん。「ありがとう!」と使用したギターのピックを客席に投げ入れると、歓声と拍手が湧き起こった。
  

 徳島公演を終えた米津さんにライブを終えた感想や、古里への思いについて聞いた。

 -どんな気持ちでライブに臨みましたか?
 徳島に帰ってくるのは本当に久しぶり。どう変わってるんだろうという、怖いもの見たさのような気持ちも少しありつつ、楽しみにしていた。時間がなく、あまり街を見られなかったけど、すごく懐かしい気持ち。

 -地元のファンの前で演奏した感想を教えてください。
 (皆さんの声援が)温かく、ぐいぐいと来る感じでやりやすかった。ライブハウスがコンパクトなので、客席との距離がとても近く、一人一人の表情がすごくよく分かる。お客さんが何を考えているのか、ダイレクトに読み取ることができて、いい意味で気が抜けなかった。

 -グラインドハウスのステージは約7年ぶりなんですね。
 昔ここに立ったときは高校生で、もんもんとした気持ちを抱えながらやっていた。あの頃はどうすればライブが盛り上がるのか分からなかったけど、今はある程度分かってきて、自分が成長できたんだなと実感した。

 -前回のインタビューで「帰省とは、何かを取り返しに行くこと」だと話していましたが、このライブで得たものは?
 今回徳島に帰ってきたことは、自分の人生において結構大きなトピックスになるんじゃないかな。まだ言葉にはできないけど、この経験を今後思い返したときに、得るものがあると思う。また近いうちに、徳島に帰ってきたいですね。