流通大手イオングループのイオンアグリ創造(千葉市)は4月から阿波市市場町興崎に直営の「イオン農場」を開設し、野菜の生産を始める。市場の流通量が少ないトウモロコシやホウレンソウなどを生産し、グループの食品スーパー・マルナカ(高松市)の徳島県内店舗で販売する。イオンアグリは全国20カ所で農場を運営しているが、四国では初めて。
イオンアグリは県農地中間管理機構を通じ、耕作放棄地など約3・2ヘクタールを借りる。現地事務所に社員2、3人が常駐するほか、パートとして地元の20人程度を雇用する。
生産するのは白いトウモロコシやナス、在来種のホウレンソウ、四葉(すうよう)キュウリなど市場での流通量が少ない10品目程度。他のイオン農場は主にキャベツやハクサイなど流通量の多い野菜を生産しており、初めての試み。少量を付加価値にして他野菜との差別化を図る。
マルナカは県内に26店舗あり、当初は数店舗で販売を始める。方法は検討中だが、収穫時刻を値札に記載するなど鮮度をアピールする。4月から定植などの作業を始め、6、7月に初出荷を予定している。
イオンアグリの福永庸明社長は、阿波市を選んだ理由について「気候が良く、肥沃(ひよく)な土地があり、他の候補地よりも熱心だった」と説明。今後については「地域のブランドとして育て、軌道に乗れば同市内で15ヘクタール程度の規模に拡大したい」と話した。
イオンアグリは3月1日に同市と協定書を締結する。天満仁産業経済部長は「耕作放棄地の解消や雇用創出など地域農業の活性化につながり、経済効果が期待できる。できる限り支援していきたい」と話した。