徳島県議会2月定例会は26日午前、本会議を再開し、岩佐義弘(自民県民会議)、島田正人(明政会)の両氏が一般質問に立った。飯泉嘉門知事は、鳴門市大麻町にすみ着いている国の特別天然記念物コウノトリが安全に営巣できるように、人工巣塔を設置する方針を表明。コウノトリの生息エリアを新たに制定する「とくしま生態系スポット」に指定し、観光客誘致や特産品の付加価値向上につなげる意向も示した。

 島田氏は、コウノトリなど生物の多様性を地域資源とし、地方創生を進めるべきだと提言した。

 人工巣塔は、次の非繁殖期に入る今夏以降に設置する予定。コウノトリが巣をつくった電柱付近を想定し、専門家の意見を聞くなどして決める。一般的には高さ12~13メートルの柱の上に円形の巣台を取り付け、コウノトリが木の枝などを敷いて巣をつくる。

 希少生物とその生息場所を合わせて指定する生態系スポットは、地域の保全活動なども踏まえて決定する。知事は「コウノトリを第1号にまずは10カ所ぐらいから、将来的には百選と呼べるようなスポットを定め、地方創生につなげたい」と述べた。

 岩佐氏は、環太平洋連携協定(TPP)に関し、農林水産物の輸出拡大に向けた戦略をただした。

 熊谷幸三副知事は、東南アジアと欧米を重点エリアと位置付け、集中的に取り組む方針を表明。東南アジアについては、官民一体による「コメ・コメ加工品輸出協議会」を設け、TPPの発効で関税が撤廃されるベトナムへのコメの輸出などに取り組むとした。

 米国に向けては、シンビジウムを中心とした花卉(かき)類のフェアや商談会を開催。欧州ではスイーツの原料としてのユズの用途拡大やハッサクの輸出に挑戦する。