県内の視覚障害者や支援者でつくる吟詠伴奏グループ「洋&邦」のチャリティー公演「吟剣詩舞リサイタル」が28日、徳島市のあわぎんホールであった。ステージではメンバーの一人で、昨秋急死した全盲の山橋衛二さんの在りし日の映像が流れ、約800人が故人をしのぶとともに、盲導犬育成支援の誓いを新たにした。
トランペットで詩吟の伴奏をする山橋さんと、事故で共に命を落とした盲導犬ヴァルデスの映像で幕開け。県内外の約60人が出演し、伸びやかな吟詠や勇壮な剣群舞を披露した。
塩田節子代表(69)=徳島市八万町福万山=は、自作短歌「黄泉(よみ)の国花満つる野を衛二くんヴァルデスと共に駆けて遊べよ」を朗読。フィナーレでは盲導犬利用者3人も舞台に上がり、出演者全員で合吟した。
ロビーでは「徳島の盲導犬を育てる会」が山橋さんの啓発活動の様子を紹介する写真パネルを展示。会場の募金箱には、会の活動に賛同する来場者から、次々と善意の義援金が寄せられていた。
家族と訪れた澤野美奈さん(41)=石井町高川原、生活支援員=は「山橋さんが懸命に活動していた様子が伝わってきた。盲導犬への理解が一層広がってほしい」と話した。