出来上がったひな人形を前に住民と語るパルコキノシタさん(右)=宮城県女川町

 徳島市出身のアーティスト・パルコキノシタさん(50)=本名・木下智史、東京都豊島区在住=が28日、宮城県女川町の町営災害復興住宅の集会所で、ひな人形を作るワークショップを開いた。東日本大震災から5年を前に、集まった住民がささやかなひな祭りを楽しんだ。

 ひな人形は、プラスチック容器に着物に見立てた色紙を貼り、その上に顔を描いたピンポン球を乗せて作る。高齢者や子どもら約30人はパルコさんに教わりながら、好きな色の紙を重ね貼りしたり、ピンポン球に笑顔を描いたりして思い思いの人形を作った。

 「震災から何度も住居が変わって落ち着かず、家にこもりがちになる時期もあった」と語るのは、榎木ミネさん(82)。津波で自宅が流され、ひな人形をなくしてしまった孫の琴さん(8)と参加した。「皆で語り合いながら、人形を作っているうちに明るい気持ちになった」と笑顔を見せた。

 パルコさんはイラストレーターや現代美術家として活動しながら芸術の専門学校「創形美術学校」(東京)の専任講師を務めている。大震災後、アーティストとして復興支援ができないかと考え、2011年秋から宮城県や福島県などで活動を始めた。地元アーティストらと仮設住宅の住民の似顔絵を描いたり、小学校でワークショップを開いたりしながら、炊き出しや見回りなどのボランティア活動も行っている。

 女川町でのワークショップは、パルコさんらアーティストでつくる団体「MMIX Lab」が、津波の被害に遭った住民に創造する喜びを感じてもらおうと企画した。昨年5月、10月に続き、3回目の開催となる。

 パルコさんは「作品を作る充実感が次へ進んでいく意欲につながればうれしい。今後もアート制作を通じ、心の支援に取り組んでいきたい」と話している。