暴れに暴れて列島を北へ駆け上った台風21号は、最後に襲った北海道でも猛威を振るった。死者こそなかったものの家屋が損壊し、電柱や街路樹はなぎ倒され、けが人が出た。とにかく行き過ぎてくれたと安堵(あんど)し、眠りの中にいた道民が多かったに違いない。きのうの午前3時8分

 よもや最大震度7の激烈な揺れにまで見舞われるとは、予想だにしなかっただろう。台風が去って丸一日とたっていないのに、虚を突いてきた。こんな冷徹な仕打ちはない。八百万(やおよろず)の神のなせる業かと目くじらを立てたくなる

 <震度7ではがけ崩れが多発し、大規模な地滑りや山の崩壊も起きる>。気象庁が震度解説表に示した通りだった。最大震度の厚真(あつま)町では土砂崩れが複数で発生。住宅が埋まり、住人が犠牲になった。安否が分からない人も多い

 台風の猛烈な風雨は影響していないだろうか。地盤が緩くなっていたところへの強震で、被害が増したのであれば恐ろしい。複合災害である

 災害のたびに新たな課題が突きつけられる。台風の暴風圏内にあるピーク時に大きな揺れが襲ってきたなら、どう行動すればいいのか。想定し、話し合っておく必要があろう

 南海トラフ巨大地震は今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされる。南海トラフは太平洋沖の海底深く。きょう暴れないとも限らない。