文化審議会(宮田亮平会長)は11日、三好市井川町辻にある今宮神社の「本殿」と「拝殿」、瑞垣(みずがき)を含めた「神門」の3件を国の登録有形文化財にするよう馳浩文部科学相に答申した。一帯で刻みたばこ作りが盛んだったことを今に伝え、国土の歴史的景観に寄与していると評価された。告示されれば、県内の国登録有形文化財の建造物は124件(47カ所)となる。
今宮神社は1915(大正4)年、たばこの専売制導入によって廃業した刻みたばこ業者らが、国から受け取った保証金の一部を持ち寄って建てた。県立工業学校(現徳島科学技術高校)の教員が設計し生徒が施工した。
今宮神社は大正期の建造物だが、国費で神社を建てる場合に配置と装飾に制限があった明治期の流れを受け、彫刻などの装飾が少ない。
本殿は屋根の前部が長い流(ながれ)造り。めぼしい装飾は桁を受ける舟肘木(ふなひじき)、妻部の豕扠首(いのこさす)、破風(はふ)の懸魚(げぎょ)しかない。入り母屋造りの拝殿、切り妻造りの神門、本殿を囲む瑞垣も簡素な外観をしている。