徳島市の阿波踊り(8月12~15日)の主催団体「阿波おどり実行委員会」は7日、今夏のチケット(有料演舞場、前夜祭、選抜阿波おどり)の販売総数は8万7208枚で、販売率は69・0%と昨夏の85・3%を16・3ポイント下回ったと明らかにした。実行委は阿波おどり振興協会による「総踊り強行」を巡る報道が相次いだことや、曜日配列の悪さが主な要因とみており、運営について検証する有識者会議を今月中に設置する。

 前売りチケットと当日券を合わせた有料4演舞場(市役所前、藍場浜、紺屋町、南内町)の販売率は66・5%(昨夏比17・9ポイント減)。選抜阿波おどりは92・2%(6ポイント減)、前夜祭は74・4%(9・1ポイント減)だった。チケットは計12万6298枚売り出していた。

 演舞場別のチケット販売率は《表》の通り。各演舞場の販売率を平準化させるため、2部のフィナーレで複数の有名連が踊り込む演出を採用したが、全ての演舞場で下落した。4演舞場では57・1%と昨夏の78・7%から21・6ポイント減った。1部も14・2ポイント減の75・8%だった。

 振興協会による総踊りが中止となった南内町演舞場の2部の販売率は例年100%に近かったが、61・5%と35・6ポイント減少。最も低かったのは市役所前の2部の33・3%(32・4ポイント減)だった。

 市役所であった実行委の会合で事務局が販売率を報告。委員の1人は「市役所前が演舞場として存在していいのかを含め、考えるべきではないか」と指摘した。

 有識者会議は弁護士や公認会計士ら5~7人で構成される見通しで、年内に実行委に提言書を提出する。

 遠藤彰良市長は会議終了後、フィナーレの成否について報道陣から問われ「(観客の)人数が減っているので効果があったとは言いにくいが、お客さんには満足いただけたのではないか」と述べた。

 次回会議は10月に開き、収支が公表される見込み。


実行委、総踊り強行で「遺憾の意」 振興協に近く文書送付

 阿波おどり実行委員会は7日の会合で、8月13日夜に踊り子ら千人以上による総踊りを強行した阿波おどり振興協会に対し、遺憾の意を示す文書を送付すると決めた。文書の内容は後日決定する。

 事務局が「雑踏事故のリスクがあったにもかかわらず強行したのは極めて遺憾」などとする文書案を提示。これに対し委員から「『来年の総踊り開催については実行委と協議した上で、阿波踊りに協力してほしい』との文言を付けてはどうか」などの声が上がったため、送付する文書はこうした意見を反映させる。

 実行委は今夏、南内町演舞場での総踊りを中止。振興協会には演舞場以外の場所での総踊を自粛するよう、文書で再三要請したが、両国橋南詰めから紺屋町交差点の間で強行した。

 振興協会の山田実理事長は今回の決定について「振興協会は来年に向けて良い方向に向けるというスタンスは持っている。ただ一方的に文書を送り付けるのは信頼性に欠けるのではないか」と話した。