町並みの向こうに広がる工場群。夜が更けると不夜城のごとく浮かび上がる=阿南市橘町

石炭火力発電所

 「工場萌え」という言葉を聞いたことがあるだろうか。工場群の景観や複雑な配管に美を見いだし、愛好したり魅了されたりする意味で使われる。撮影された写真がインターネットや会員制交流サイト(SNS)で紹介され、人気が広がった。

 都市部の工業地帯では、夜景が近未来都市のような雰囲気を浮かび上がらせる。観賞に訪れる人が増え、新たな観光スポットになっている場所もある。

 徳島県内でも写真映えするポイントがいくつかあり、その中の一つ、阿南市の橘湾を訪ねた。1963年から76年にかけて4基の火力発電設備が造られた四国電力阿南発電所や新日本電工徳島工場、2000年に稼働した四国電力橘湾発電所と電源開発橘湾火力発電所が立つ。

 津峰山(284メートル)に登ると、湾全体が見渡せる。薄暮時には、町並みと工場群の明かりが広がり、夜が更け町が暗闇に包まれると、工場群は不夜城のごとく輝きを増す。

 リアス式海岸と大小の離島によって「阿波の松島」と呼ばれる橘湾。自然と人工物の「美」が組み合わされ、多くの人を「工場萌え」にさせている。