「牟岐・出羽島アート展2016」が開かれている牟岐町沖の離島・出羽島に、藍染の県産スギを使ったおしゃれな展望デッキがお目見えした。藍染商品の開発に取り組む建材業者や起業家らが力を合わせ、アート展の開催期間限定で設置。デッキから望む大海原の雄大な景観と相まって、島を訪れる人たちの人気を集めている。
「天空の海床(うみゆか)」と名付けられた展望デッキは、標高約20メートルの高台にあり、幅約6メートル、奥行き約3メートル。高さ約60センチの手すりと3~5人掛けのベンチがある。藍染の住宅建材を手掛ける大利木材(徳島市)が整備。ベンチと手すりには、藍染の塗料を定着させた同社製のスギ材を使用している。
展望デッキの置かれた高台はかつて神社があった場所で、太平洋を見下ろす絶景スポット。アート展の作品を見て回った来場者が足を延ばし、潮風に吹かれながら、眼下に広がる青い海を楽しんでいる。
出羽島発の藍染商品の開発を目指し、島に暮らす帆布かばん職人佐々木敦生さん(36)と、海陽町の藍染製品製造・販売業の山本牧人さん(47)が、耕作放棄された段々畑で、藍栽培に取り組んだのがきっかけだ。
2人は土地所有者らの了解を得て、2014年冬から藍の試験栽培を始め、11枚の段々畑を再生した。そんな2人の活動を知った大利木材の小濱利郎専務(60)が島を訪問。よみがえった畑と青い海に魅了された小濱専務が、段々畑が見える高台に展望デッキの設置を提案し、2月下旬に完成させた。整備費約130万円は同社が負担した。
アート展最終日の27日まで利用でき、その後は撤去する予定。小濱専務は「段々畑から生まれるジャパンブルー(藍色)を想像しながら、島からの眺めを満喫してほしい」と話している。