災害時に聴覚障害者が支援者を一目で分かるように作られたビブス=徳島市南矢三町2の県立障がい者交流プラザ

災害時に聴覚障害者が支援者を一目で分かるように作られたビブス=徳島市南矢三町2の県立障がい者交流プラザ

 徳島県内の聴覚障害関係9団体でつくる聴覚障害者制度改革推進徳島本部が、災害時に手話通訳者や要約筆記者らが身に付けるビブス(ベスト)を作った。聴覚障害者が避難するときや、その後の避難所生活で手助けしてくれる人を探しやすくするのが狙い。聴覚障害者に情報を伝えられる体制づくりにつなげ、近い将来発生するとされる南海トラフ巨大地震に備える。

 ビブスは5種類。それぞれ胸側と背中側に「手話できます」「筆談できます」「手話通訳者」「要約筆記者」「盲ろう者向け通訳・介助員」と書かれている。フリーサイズで、藍色に統一した。

 聴覚障害者は防災無線やサイレンが聞こえにくく、避難が遅れる恐れがある。聴覚・ろう重複障害者生活支援センター(徳島市中島田町4)の戎浩司理事長は「東日本大震災では津波に気付かず、多くの聴覚障害者が亡くなった」と話す。避難所でも食料や水などの配布情報が伝わらず、列に並んでみて初めて配給だと知るケースが相次いだという。

 徳島本部はこうした教訓から、ビブス約530着を用意した。各市町村や社協、視聴覚障がい者支援センターなどに配布し、地域の防災訓練などで活用してもらう。

 徳島本部の平光江本部長は「災害時に手話や筆談ができるボランティアらが着用することで、聴覚障害者へのスピーカー役を果たしてくれると期待している。障害者の目線に立った支援に役立ててほしい」と話している。