徳島県への移転に向けた課題を検証するため、消費者庁が神山町を拠点に実施した試験業務は17日、4日間の日程が終了した。板東久美子長官は試験業務終了後、県庁で報道陣の取材に対し、「テレワークを有効活用できる部分や、そのために必要な条件整備が分かってきた」と総括した。移転の可能性については「まだ結論を出す時期ではない」と述べ、7月に県庁で行う大規模な試験業務の結果を含めて判断すべきだとの考えを示した。
板東長官は、テレビ会議やウェブ会議システムを使った試験業務に取り組んだことを踏まえ、「テレワークをうまく使いながら、新しい業務の在り方や働き方を霞が関の中で先導していきたい」と感想を語った。
一方で、テレワークが「万能ではない」と指摘。機密性の高い情報の保護といった面で課題を感じたとした。
飯泉嘉門知事も取材に応じ、「事務方のトップが徳島で勤務し、東京一極集中の是正に向けて動き出したことが一番の意義。課題と可能性をしっかり分かってもらえた」と語った。
長官はこの日午後、県が移転先として提案している県庁を視察。知事が消費者庁が入居する計画の10階企業局を案内した。長官はその後、11階の職員食堂も見て回り、夕方に帰京した。
県庁に先立ち、県消費者情報センターも訪問し、職員からセンターの業務などについて説明を受けた。このほか、徳島大や徳島経済同友会なども訪れた。
消費者庁は今後、7月に職員数十人を徳島に派遣し、大規模な試験業務を行う予定。県庁9、10階での実施を検討している。