障害者への差別的扱いを禁止する障害者差別解消法が4月に施行されるのを前に、県立障がい者交流プラザ視聴覚障がい者支援センター(徳島市南矢三町2)は、補聴援助機器「携帯型磁気ループ」の無料貸し出しを始めた。講演会などを開く団体の関係者らに利用を呼び掛ける。
磁気ループはループアンテナで囲った空間に音声磁場をつくることで、補聴器や人工内耳、専用の受信機などに音声信号を届ける仕組み。周りで雑音があっても、音源から発せられた音だけを聞き取りやすくなる。
県内では同プラザやアスティとくしま、県立中央病院など一部の県有施設に埋め込み式の磁気ループが設置されているが、多くの公共施設にはない。センターには難聴者から「多くの講習会に参加できない」と、環境整備を求める声が少なからず寄せられていた。
差別解消法では、障害者から助けを求められた際、過重な負担にならない範囲で対応する「合理的配慮」を公的機関に義務付け、民間事業者にも努力義務としている。4月には県の「障がいのある人もない人も暮らしやすい徳島づくり条例」が施行されることから、配慮の一つとして、磁気ループを貸し出すことにした。
貸し出すのは障害者団体や教育機関などセンターが適当と認めた団体で、期間は原則1週間。
19日には磁気ループの使い方を学んでもらう講習会をセンターで開く。センターの西條美鈴所長は「聞こえにくい人の社会的参加の機会を増やすため、積極的に活用してほしい」と話している。
磁気ループは県難聴者と支援者の会でも4月から無料で貸し出す。問い合わせはセンター<電088(631)1400>。