燃料電池車に水素を補給する水素ステーションが22日、四国で初めて徳島県庁に開設された。県が公用車として導入した燃料電池車に供給するほか、来庁者の見学用に活用し、次世代エネルギーとして注目される水素の普及啓発拠点とする。
水素ステーションは高さ2・1メートル、幅3・2メートル、奥行き2・1メートルの固定型で、県庁正面玄関西側広場のそばに設置された。太陽光発電で水を分解し、1日当たり1・5キログラム(150キロメートル走行分)の水素を生成する。
タンクには最大19キログラムの水素をためることができ、県が公用車として9日に導入した燃料電池車2台と、近く納車される3台に燃料を供給する。
県はステーション一帯を水素社会啓発・体験ゾーンとして、水素の特性などを説明したパネルを設置。子ども向けの環境イベントを開いたり、県庁見学者の案内メニューに組み込んだりする。
22日午前、現地で開所式があり、約100人が出席。熊谷幸三副知事が「多くの人に水素社会の到来を実感してもらいたい」と飯泉嘉門知事のあいさつ文を代読した後、設備の電源を入れた。
産業用ガス販売の四国大陽日酸(徳島市北田宮1)が商用に導入した移動式水素ステーションも同日、開所式でお披露目された。14トントレーラーに水素充填設備を搭載しており、同社など2カ所で燃料電池車向けに24日から販売する。水素1キログラム当たりの料金は1100円(税抜き)。
県が地球温暖化対策として水素の活用策を定めた水素グリッド構想では、民間の水素ステーションを2025年までに6カ所、30年までに11カ所整備することを目標に掲げている。