JA板野郡は、収穫したコメの乾燥や選別、袋詰めなどを行う管内全6カ所のライスセンターを、板野町の吹田ライスセンターに集約する。1カ所にまとめて老朽化した設備を増強し、作業の効率化や省力化、コメの品質向上を目指す。
ライスセンターは板野町に1施設、阿波市土成町に2施設、上板町に3施設あり、670戸の農家が利用している。老朽化や騒音などの問題もあり、阿波市と上板町の5施設を廃止し、吹田に一本化することにした。
吹田ライスセンターでは、5トン容量のタンクを備えた乾燥機が9基あるのに加え、20トン容量の乾燥機4基を設置する。業務用米の計量や袋詰めを自動で行う自動給袋機と、袋を自動で積み重ねるロボットを新たに導入して省力化を推進。害虫被害や高温障害によるコメの変色を自動で判別できる色彩選別機も初めて備え、品質と食味を向上させる。
このほか、わらや草といった異物を除去する粗選機や、もみすり機などは処理能力の高い機器に更新。処理した後のコメを仮置きする倉庫として394平方メートルを増築する。
廃止される5施設を利用していた生産者は最寄りの同JA集荷場に持ち込めば、JAが委託した輸送業者が吹田ライスセンターへ運ぶ。運賃は不要。
2018年収穫分の処理が終わる11月から既存設備の撤去などを始め、来年3月に新たな設備の設置や増築などを完了させる。廃止する5施設は撤去するか、別の施設に再利用するかを検討する。事業費は4億3500万円で、国の補助金約2億円を活用する。
補助事業の活用に当たって国から、生産規模の拡大と効率化を図るため荷受けを1日1品種にするよう求められている。吹田ライスセンターは収穫時期に合わせてコシヒカリとあきさかり、ヒノヒカリの3品種を受け入れるが、現在管内で最も作付けの多いキヌヒカリは高温になると品質が低下しやすいことから、段階的にコシヒカリかあきさかりへの切り替えを促す。
中野健二組合長は「センターの利用を促進して売れるコメ作りに努め、農家の所得向上や作付面積の維持拡大に貢献したい」と話した。