県更生保護女性連盟が、矯正教育に役立ててもらおうと、小説などの図書300冊を徳島刑務所(徳島市入田町大久)に贈った。連盟の猪尾寿枝会長(75)=阿波市市場町市場=が、蔵書を充実させることが難しい刑務所の事情を知り、会員に提供を呼び掛けた。
猪尾会長は2015年10月に刑務所で開かれた矯正展を訪れた際、竹中晃平所長から刑務所の図書事情を聞かされた。刑務所は1万5千冊ほど所蔵しているが、経年劣化で廃棄する本が少なくない上、購入予算が限られており、種類を増やすことが難しいのが現状。受刑者からは図書の充実を求める声もあるという。
猪尾会長が会員に不用になった本の提供を呼び掛けたところ、夏目漱石や有島武郎、山崎豊子らの小説のほか、生き方や心のカウンセリングをテーマにした本などが集まった。今月17日、役員4人と共に刑務所に運び、竹中所長に手渡した。
刑務所への図書の寄贈は珍しいといい、竹中所長は「大変ありがたい。良い本との数多くの出合いが社会復帰に役立ち、人格の錬成になる」と述べ、感謝状を贈った。猪尾会長は「多くの会員が協力してくれた。毎年寄贈していきたい」と話した。連盟は刑期を終えた人らの生活を援助する民間組織で、会員は3400人。