小さい頃から将棋に触れる機会を

 徳島市出身の武市七段に、徳島からプロ棋士を輩出するために必要なことなどを聞いた。

 ―富田中学校を卒業後、上京し奨励会に入会。1981年にプロになった。

 小学校の同級生のお父さんに教えられ、将棋が好きになった。強くなれば、さらに強い人のところに連れて行ってくれた。周囲が(プロへと)導いてくれた。

 ―徳島県出身の現役プロ棋士がいない。何をすればいいか。

 小さい時に将棋に接する機会があることが一番だ。藤井(聡太)さんだって羽生(善治)さんだってゼロからスタートしている。そして負けても嫌にならないこと。周囲や指導者が、嫌にならない環境をつくり、勝つことの楽しさを教えてあげれば、プロを目指す素材は出てくる。

 ―地方ではプロになりにくいか。

 そんなことはない。最近はインターネットでプロの棋譜も見られるし、1人で勉強もできる。本人の意欲と努力次第だ。

 ―子どもたちにメッセージを。

 将棋から学ぶことは多い。我慢強くなり、先を読む構想力や、決断力が付き、社会生活に役立つ。プロを目指す目指さないにかかわらず、将棋を好きになってほしい。

◆プロになるには◆

 プロ棋士への道は長く険しい。一般的にプロになるためには、関東と関西に設けられている養成機関の奨励会に入らなければならない。年1回、入会試験があり、1次は対局、2次は筆記と対局、面接がある。全国のトップクラスが集い、奨励会に入るのすら容易ではない。現在の在籍者は113人。

 入会後も厳しい戦いが続く。6級からあり、対局を重ねて規定の勝率を上回れば昇級・昇段する。年齢制限の壁があり、21歳までに初段、26歳までに四段にならなければ退会させられる。三段リーグで勝ち越せば29歳まで在籍できるが、毎年原則4人しかプロになれない。現役のプロ棋士は163人。