米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による歴史的な会談から、きょうで3カ月になる。

 会談直後は、朝鮮半島の完全非核化へ期待が膨らんだが現状はほとんど進展しておらず、失望を禁じ得ない。

 ただ、膠着状態が続く中、米朝や南北間で新たな動きも出てきた。金氏からトランプ氏へ、2度目の首脳会談を提案する書簡が届いたという。韓国の文在寅大統領と金氏との首脳会談も18日から平壌で開かれることが決まった。

 米国は、韓国とも緊密に連携し、今度こそ非核化の実現に向けた交渉を軌道に乗せなければならない。

 6月に開かれた米朝首脳会談では、金氏が「朝鮮半島の完全非核化」を約束し、トランプ氏は北朝鮮に安全の保証を確約した。しかし、非核化プロセスは声明文に盛り込まれず、曖昧なままだった。

 このため、協議が重ねられてきたが、米国の要求する非核化への具体的な措置に対し、北朝鮮は朝鮮戦争の終戦宣言の先行を主張、平行線をたどる結果となった。

 衝撃的だったのが、8月下旬にポンペオ国務長官の訪朝をトランプ氏が土壇場で取りやめさせたことだ。トランプ氏はこれまでの金氏の姿勢を厳しく批判、再び亀裂が深まりかけていた。

 対話の扉が閉ざされれば当然、非核化は遠ざかる。そうした懸念があっただけに、金氏からの書簡は朗報だ。

 今のところ、トランプ氏は会談に前向きで、年内に実施される可能性もある。非核化への実現は両首脳の決断にかかっている。交渉に弾みをつけるためにも再会談は不可欠だろう。

 一方、南北首脳会談も時宜を得たものではないか。

 訪朝した文氏の特使団によると、金氏はトランプ氏の1期目の任期が終わるまでに米朝間の敵対の歴史を清算し、非核化を実現したいとの考えを表明したという。

 金氏が、期限に言及したのは初めてだ。交渉への意欲の表れとも受け取れる。

 北朝鮮は9日に行われた建国70年の軍事パレードで、米国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を登場させなかった。トランプ氏に配慮したものだろう。

 交渉は今後も難航することが予想される。それでも、再び対話の機運が高まってきたことは歓迎できる。

 米朝、南北間の動きとは逆に、日朝関係は依然、目立った進展はない。

 7月に内閣情報官がベトナムで北朝鮮側と接触したという情報もあるが、北朝鮮は、安倍政権の拉致問題に主眼を置いた日朝対話には応じない姿勢を変えていない。

 拉致問題で北朝鮮を動かすには米韓はもとより、国際社会の後押しも必要だ。

 折しも、ロシア訪問中の安倍晋三首相は、中国の習近平国家主席ら各国要人と顔を合わす。この機会に、強く協力を働き掛けてもらいたい。