阿南市方面に向かう公共交通機関のない勝浦町で、新学期から高校通学用バスの試験運行が始まる。保護者有志が、町内のタクシー会社に運行を委託する。通学の不便を解消し、教育環境の充実を図るのが狙い。
富岡西、富岡東、阿南工業の3高校と、阿南高専(いずれも阿南市)に通う生徒が対象。新野高(同)への通学者はいない。4月以降、町内から対象4校に通うのは1年15人、2年12人、3年6人の計33人。保護者でつくる「阿南方面への通学を支援する保護者会」によると、15人程度が通学バス利用を希望しているという。
保護者会の計画では、最大10人乗りのジャンボタクシー1台を利用。通学用に午前7時台に1便、帰宅用は午後5時台と8時台の2便を運行する。
町内の停留場所は沼江、生名、久国、棚野、三渓の5カ所を予定。運賃は小松島市行きの通学定期などを参考に、片道1回600円とする見込み。
町は事業を支援するため2016年度一般会計予算に、補助金200万円を盛り込んだ。運賃で賄えない差額分を補てんする。
勝浦町から小松島市へは徳島バスが運行しているが、阿南市方面はなかった。このため阿南の高校に通うにはバイクを利用するほか、いったん小松島市内の駅などに向かうか、保護者による送迎が必要だった。
保護者会は17年度以降も運行を続けたい方針で、廣瀬芳枝会長(51)は「長年の保護者の夢だった通学手段の確保ができてうれしい。ずっと続けられるよう試験運行に取り組みたい」と意気込む。
中田丑五郎町長は「町内から阿南に通学する人も多く、利便性を高めるための取り組みとなる。保護者会を支援しながら、初めての試みを見守っていきたい」と話している。