耕作放棄地で草刈りをする受刑者(左端)と作業を監視する刑務官=徳島市入田町月ノ宮

 徳島刑務所(徳島市入田町大久)は今月から、地域の耕作放棄地で受刑者が草刈りをする社会貢献活動を始めた。同刑務所の受刑者が施設外で活動するのは初めて。11日、草刈りの様子が報道陣に公開された。

 作業に取り組んだのは50代と40代の男性受刑者2人。入田町月ノ宮の耕作放棄地約10アールで午前9時から約2時間半、腰の高さまで茂った雑草を電動草刈り機で刈り取った。脱走防止のため、刑務官4人が作業を監視した。

 受刑者による草刈りは、徳島刑務所視察委員を務める入田町まちづくり協議会の森政雄会長が協力を依頼して実現した。

 刑務所によると、作業には心理技官らの面接を複数回受けた更正意欲の高い受刑者が参加。トラブルが起きないよう、警戒に当たる刑務官もウエアラブルカメラを装着するなど監視態勢を強化している。

 この日の草刈りは6日に続き2回目で、無償で行われた。作業を見守った森会長は「可能な限り継続してほしい」と話した。

 平良敦志刑務所長は「受刑者に社会貢献の仕事をさせるのは意義がある。対象者を慎重に選び、刑務官がきちんと警戒することで(逃走の)問題は払拭(ふっしょく)できる」とした。

 受刑者による刑務所施設外での社会貢献活動は、円滑な社会復帰につなげるため2011年ごろから全国の刑務所で実施されるようになっている。