ニュース番組で地震の情報を伝える福永さん=札幌市の北海道テレビ

 北海道で、徳島市出身のテレビアナウンサー福永裕梨さん(23)=札幌市=が震災報道に奮闘している。「不安な気持ちを少しでも和らげたい」。被災者に寄り添い、必要な情報を届けようと連日、心を込めてニュース原稿を読み続ける。

 福永さんは城南高を経て神戸大卒。2017年に北海道テレビに入社し、アナウンサーになる夢をかなえた。今は午前6時からの情報番組や正午前のニュース番組のキャスターなどを務めている。

 地震発生の約30分後、自宅マンションが停電した。テレビ局に指示を仰ぎ、夜が明けるのを待って駆け付けた。

 被害の全貌が分からないまま、午前中は事前に決まっていた取材をこなすため旭川市に入った。「震源から遠い。札幌市より状況はいいだろう」と思っていたが、駅前は静まり返り、商店は既に品薄だった。「どこまで被害が広がっているのか」。がくぜんとした。

 帰社後、道内全域に及んだ停電の様子などをニュース番組で報じた。「自分も被災者。苦しんでいる人の気持ちに寄り添おう」

 11日もニュース番組でテレビカメラに向かった。「震度7に見舞われた厚真町で断水が続いています」「旭川市の旭山動物園で来園者が激減しています」「災害ボランティアの活動が始まりました」―。今は暗いニュースが多いが、復興していく過程を被災者の目線で伝え続けるつもりだ。

 「今回の地震では液状化や土砂災害が顕著。同様の被害は徳島でも起こり得る。北海道の事例を教訓に、一人一人が対策を考えてほしい」。南海トラフ巨大地震が迫る古里にも思いをはせた。