徳島県警は2016年度、コールセンターを通じて高齢者宅に電話をかけ、特殊詐欺への注意を呼び掛ける「特殊詐欺抑止コールセンター事業」に取り組む。各都道府県警が詐欺グループから押収した名簿などを基に、狙われる可能性がある人に先手を打ち、被害を防ぐのが狙い。年間延べ2万人への呼び掛けを目指す。

 詐欺グループの名簿には氏名や住所、年齢、電話番号などが書かれており、警察庁は全国の約62万人分を把握している。そこには県内在住者約2400人が含まれている。

 コールセンターのオペレーターは、県警が作った資料や電話帳を参考に電話をかけ、おれおれ詐欺や還付金詐欺などの手口を紹介して警戒を促す。不審な電話がかかっていないかも尋ね、詐欺の可能性があれば県警に報告する。

 県内の15年の特殊詐欺被害は74件、2億6867万円で、金額は前年より7234万円減ったものの、件数は24件増えた。県警は1人暮らしの高齢者宅を戸別訪問したり詐欺をテーマにした寸劇を披露したりして啓発しているが、被害は後を絶たない。

 電話による個別啓発は全国で広がっており、徳島県警も四国4県で初めて導入を決め、県の16年度当初予算に事業費500万円を盛り込んだ。

 事業を委託する通信会社や電話をかける時期は今後検討。電話を受けた人が不安に思う可能性もあるため、説明の仕方など細かな対応も詰める。

 県警生活安全企画課は「詐欺の手口は年々変化している。一人でも被害者を減らすため、できることをやっていきたい」としている。