こいのぼりが十分集まらず2015年は飾り付けが中止に追い込まれた、宮川内ダム(阿波市土成町宮川内)のこいのぼりが4日、2年ぶりに登場した。再開を願う人たちが寄付を申し出て、必要な数の3倍となる300匹が同市内外から集まった。四半世紀に及んだ春の風物詩の復活に、住民や観光客からは喜びの声が上がっている。
昨年5月に中止が報道されて以降、「こいのぼりがなくなって寂しい」と惜しむ声が上がり、阿波市を中心に上板町や板野町、徳島市の住民から、寄付が相次いだ。飾り付けに取り組んできた土成町ボランティアグループや阿波市社会福祉協議会のメンバーも知人らに働き掛け、8月までに約300匹が提供された。今年はこのうち100匹を飾った。
4日は同グループや土成ライオンズクラブのメンバーら30人が設置作業を実施し、早速観光客らが見とれていた。家族と訪れた安丸友香さん(35)=同市土成町吉田、自営業=は「この景色を見ると春を実感する。地元の名物なのでこれからも続けてほしい」と話した。
飾り付けは5月9日まで。土成町ボランティアグループの井上昭会長(69)=同町浦池=は「多くの人に宮川内のこいのぼりが愛されていることが分かった。復活できて本当によかった」と笑顔だった。
宮川内ダムでは1990年に飾り付けを開始。4月初旬からゴールデンウイークまでの約1カ月間、100匹以上を掲げていた。こいのぼりは風雨にさらされ傷むため、毎年新たな寄付が必要だが、所有する家庭が減っていることに伴って寄付も減少。15年は30匹しか集まらず、見栄えしないため飾り付けを断念した。