原子力規制委員会は5日、四国電力伊方原発3号機の再稼働に向けた最終手続きとなる使用前検査を始めた。3号機は昨年7月に規制委の審査に合格しており、審査通りに機器や設備が機能するかを確認する。四電は使用前検査に合格後、7月下旬に再稼働し、8月中旬の営業運転を目指す。
原子力規制庁の門野利之首席原子力施設検査官ら7人が訪れ、発電所の増田清造所長ら22人が応対した。冒頭、門野氏は「工事が計画通り行われているか厳格かつ慎重に審査したい」と話した。
この日は安全対策工事に関する品質管理体制に問題がないか書類をチェックしている。その後、原子炉格納容器や冷却用ポンプの強度などを調べる。
四電の計画では、6月下旬に3号機の原子炉にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を含む燃料集合体を装填(そうてん)し、7月下旬に原子炉を起動させて再稼働させる方針。3号機がプルサーマル発電を始めた場合、関西電力高浜3、4号機(福井県)に次ぎ2例目となる。
伊方3号機は規制委の審査に合格し、昨年10月に中村時広愛媛県知事が再稼働に同意。規制委は今年3月23日、設備の詳細設計をまとめた工事計画を認可した。
東京電力福島第1原発事故後に新規制基準が策定された後、再稼働したのは九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜3、4号機の計4基。
高浜3、4号機をめぐっては、大津地裁が運転差し止めの仮処分申請を認めた。伊方原発に関しても広島と長崎の原爆被爆者らが3月、運転差し止めを求める訴えを広島地裁に起こしている。