人口減少対策や地域経済活性化のマスタープランとなる徳島県内市町村の「総合戦略」と「人口ビジョン」が出そろった。各市町村が掲げた2060年の人口目標の合計は63万500人で、県の人口ビジョンの「60万~65万人超」とほぼ合致。60年の県人口は約42万人にまで減ると推計される中、各市町村が総合戦略に盛り込んださまざまな施策を通じ、いかに人口減少に歯止めを掛けられるかが鍵となる。
24市町村の15年の国勢調査人口と60年の人口目標は≪別表≫の通り。
人口目標では、15年国勢調査で約26万人の徳島市が60年に「24万人超」と設定。最も少ない上勝町は1546人に対し、40年に千人を確保するとしている。
一方、現状を上回る目標を掲げたのは北島町と藍住町。北島町は約2万2500人を40年には約2万3300人、藍住町は約3万4600人を20年に3万6千人台に増やし、その後も3万6千人を維持するとしている。
40年時点の目標を設定した三好、上勝、北島、上板の4市町の目標値をそのまま60年時点に当てはめて計算すると、同年の人口目標は合計63万500人。国立社会保障・人口問題研究所が推計する県人口と比べると約21万人の開きがある。
各市町村は今後、目標達成に向け、5カ年計画(15~19年度)の総合戦略に盛り込んだ各種施策の実行に移る。上勝町は、町が山を買い取って樹木を育てる「彩山(いろどりやま)」を活用して移住者を集め、雇用創出を図る。
美馬市は、大都市圏から高齢移住者を受け入れる市版CCRC(継続的なケア付き退職者コミュニティー)「生涯活躍のまち」構想を推進。那賀町は林業の6次産業化などを通じて働く場の確保につなげる。
県は市町村の施策推進に対し、地方創生に関する国の交付金の効果的な活用について助言するほか、交付金の対象外でも将来性が見込まれる施策には県独自の交付金で支援。15年度に創設した「県版地方創生特区」も活用し、人的・財政的なサポートを展開する。
総合戦略と人口ビジョンは、全ての都道府県と市区町村が策定する。県は15年7月に策定している。