自分が所属する新聞ながら、9日付国際面の見出し「米、犯人探しに躍起」には違和感があった。「米」とくれば政府を挙げて、といった印象があるが、犯人探索に血眼なのは大統領と側近だけでは

 匿名の政府高官による「反トランプ」の寄稿が、随分お気に召さなかったようだ。大統領は、掲載したニューヨーク・タイムズ紙に対抗措置も示唆し、寄稿者を教えろ、と迫っている

 “容疑者”がやたらと多く、探索は難航したようだが、数人にまで絞り込まれているらしい。「心を病んだ人間の名前は、やがて明らかになるだろう」と勝ち誇ったように言うけれど、どうかしているのは大統領の方

 「私はトランプ政権内の抵抗勢力だ」との見出しで、大統領の振る舞いを「健全な国家にとって有害」と断じ、多数の高官が阻止に努めている、と寄稿はつづった。切に願う。何とぞ努力を続けていただきたい

 「フルシチョフ(元最高指導者)はばかだ」と言った男に、国家秘密漏洩(ろうえい)罪が適用されたという旧ソ連の笑い話を知ってか知らずか、トランプ氏は「国家安全保障に関わる問題だ」と息巻く。どうやら匿名氏は国家機密を暴露したらしい

 著名な記者ボブ・ウッドワード氏の新著には「小学生並みの理解力しかない」との表現もあるそうだ。確かに国家の安全保障に関わる問題である。