鳴門市里浦町の大手海岸で、通行者の安全を守るため県が堤防上の道路に設けている防砂ネットの破損が目立っている。強風や海水で傷みやすく、補修が追いついていない状態だ。ネットは海岸沿いに広がる芋畑の風よけにもなっており、地元から早期改善を求める声が上がっている。
ネット(高さ1・5メートル)は、堤防上の県道鳴門徳島自転車道の利用者を風で飛ばされた砂から守ろうと、県が1986年度から段階的に設置してきた。延長3・4キロのうち約1・2キロの区間で破れたり、なくなったりしている。中には支柱が折れ、道路側に傾いている箇所もある。
よく自転車で通るという近くの男性(72)は「きちんと管理しないと、かえって危ない」と心配する。
堤防沿いには、なると金時の畑が一面に広がる。JA里浦によると、強風で吹き上げられた海水が塩害を引き起こしたり、植え付け時期にはつるが折れたり、畝を覆うビニールなどが飛ばされたりするという。ネットはそうした被害を防ぐ役割も果たしている。
平田敏組合長は「道路の安全対策だけでなく、生産者も風よけとして頼りにしている。破れた箇所では被害も出ており早く直してほしい」と訴える。
県は毎年800万円ほどかけて約200メートルずつ補修しているものの、5年ほどで破損するらしい。このため、2017年度からは耐久性に優れたネットや支柱に切り替え、有効性を試している。
県は「緊急性の高い箇所は早急に対応したい。限られた予算の中で補修を続けていく」としている。