新聞で社員が変わる

 徳島新聞社は、2018年4月から本格的に、徳島県内の企業・団体を対象にした社職員の能力向上プログラム「とくしん人材育成セミナー」を始めている。本紙を教材に、受講者の考える力やコミュニケーション能力を高め、個人やチームの生産性を上げることが目的。19年3月までに22社・団体が取り組んだ。受講者からは「社員の意識改革になる」「新聞の見方が変わった」「楽しく学べた」などの意見が寄せられている。

新聞の「見出し○×読み」の効果について、講師の説明を熱心に聞く参加者=2018年7月、徳島市勝占町の博愛記念病院

講座の流れ

 セミナーは月1回の6回講座が基本。仕事に必要な能力のうち、読解力、思考力、コミュニケーション力、課題対処力の向上に焦点を当てている。受講者は回ごとにそれぞれの能力を身につけるための新聞活用術を学び、実践する。講義は徳島新聞メディアの社員が行う。

 各講義後に週4日程度、自宅で簡単な演習を繰り返す。次回の講義では受講者間で演習成果を評価し合う。演習を習慣付けることで学びを定着させ、グループワークで価値観を広げるのが狙い。

 受講者には毎回学んだ内容の報告書を提出してもらい、講師が添削している。講義の復習と報告書執筆の上達が目的。6回講座の構成は次の通り。

仕事支える基礎能力

 人材育成に際し、多くの人が専門知識や業務経験という専門能力に関心を向ける。しかし、個人の成果や成長には基礎能力が影響を及ぼす。基礎能力とは、自らが積極的に仕事に関わるといった主体性、人を巻き込んで仕事をするためのコミュニケーション力、課題を適切に処理できる課題対処力、そして、全ての能力を支える読解力と思考力だ。(図参照)

 人材価値は「基礎能力×専門能力」で決まると言っていいだろう。専門能力は部門や立場が変わるとリセットされる。一方の基礎能力はどんな部門や立場にも役立つ。基礎能力に焦点を当てる新聞を活用したセミナーは、さまざまな部門や年齢層への研修に効果的と言える。

セミナー・ルポ

課題と解決策をまとめたものを見ながらプレゼンする参加者=徳島市川内町のキョーエイ本部

 1月11日、徳島市川内町のキョーエイ本部で行われたセミナー。20~40代の社員14人が、宿題でもあった、仕事に関連する新聞記事を毎日スクラップし、コメントを書き込んだノートを手に集まった。

 この日の内容は、3、4人の班ごとに行うプレゼンテーション。各自のスクラップの中から班で一つの記事を選び、そこから自分たちの課題を連想し、解決策を探ることが目標だ。

 手順を確認した後、班ごとに話し合いが始まった。人手不足をテーマにした班は、スクラップを基に、無人レジの導入や外国人労働者の採用を提案。インフルエンザ流行の記事を選んだ班は「予防のためにマスクを付ける手もあるが、その姿を見たお客さんは不安にならないか」と考え、さらなる対応策を練った。

 約40分後、各班が話し合った成果を発表。同じ会社の仲間同士、和やかな雰囲気の中で意見交換しながら、社業への理解も深めた。

 講師を務める徳島新聞メディアNIE・NIB推進室の手束泰二担当部長は「社会と仕事を関連付けることに新聞は役立つ。課題に対する何かのヒントになるかもしれないので、スクラップを続けてください」と締めくくった。

実施社の声

 仕事と記事 関連付け 
 JRホテルクレメント徳島・井上佳治総支配人 社員の意識改革になった。社会的知識を身に付ける必要性を知り、仕事と関連付けながら記事を読む癖が付いた。段階を経た講義で理解しやすかった。

 円滑な部内連携を実現
 富田製薬・夏目敦子人事部長 管理本部の社員が受講した。終了後も研修内容を継続することで、部内の連携がスムーズになった。今ではその社員が講師となり、他の社員向けに新聞活用セミナーを開催。全従業員の視野を広げる活動を行っている。

 仕事 より楽しめるように
 西精工・西康年営業本部 長読解力や思考力の鍛え方を学び、部署間やチーム内のコミュニケーションがさらに円滑になった。受講前より楽しんで仕事に取り組めていると感じる。

 全社的視点で意思疎通
 丸本・川島雅也人事課係長 中間管理職を対象に実施した。受講者が多面的な視点を持つようになった。現在は、全社的視点で部門を越えた意思疎通が図れるようになっている。

【実施社・団体】

 赤帽協同組合、阿南市、阿南信用金庫、阿波銀行、キョーエイ、健祥会グループ、JRホテルクレメント徳島、JAグループ、四国放送グループ、昌栄、商工中金、スタンシステム、損保ジャパン日本興亜代理店会、大学支援機構、筒井製絲、天満病院グループ、ときわ、徳島海上保安部、徳島銀行、徳島航空サービス、徳島合同証券、徳島新聞グループ、徳島新聞ネクスト、徳島信用金庫、徳島の働く女性を元気にする会、とくしまフューチャーアカデミー、富田製薬、どりーまぁサービス、西精工、博愛記念病院、白寿会、丸本グループ、吉野川市(50音順)

「とくしん人材育成セミナー」
新聞で能力向上 実施企業・団体を募集

 徳島新聞社はセミナーを開催する企業・団体を受け付けています。講師が各事業所へ伺い、講義を実施。社職員の基礎能力向上を支援します。 
 ◇講義構成 月1回6カ月間。原則1回90分(回数、期間、時間とも応相談)
 ◇講師 徳島新聞メディア社員
 ◇定員 応相談
 ◇料金 無料。ただし、期間中、教材となる本紙朝刊を受講者全員に自宅で定期購読いただきます(既読者の追加契約は不要)
 ◇募集期間 随時
 ◇申し込み方法 電話かメールでお申し込みください。

株式会社徳島新聞メディア NIE・NIB推進室
  電 話:088(655)7363 ※平日9時30分から17時30分
  メール:nib@topics.or.jp