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一般社団法人日本プロバイオティクス学会(理事長:古賀 泰裕)は、7月14日の「内視鏡検査の日」に合わせて、ピロリ菌除菌後の内視鏡検査実施状況を把握するために、ピロリ菌除菌済みの方505名を対象にアンケート調査を行いました(実施時期:2022年6月24日(金)~2022年6月25日(土))。


■アンケートの結果
<約8割の方が除菌後も胃がんになる可能性があると認識>

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/316523/LL_img_316523_1.png
グラフ(1)

除菌後に胃がんになる可能性を知っている(よく知っている+やや知っている)という方は、80.0%に及びました。一方、除菌後も胃がんになる可能性を知らなかった(あまり知らなかった+知らなかった)という方は20.0%でした。

<除菌後に内視鏡検査を受けていない人は48.7%>

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/316523/LL_img_316523_2.png
グラフ(2)

除菌後に胃がんになる可能性を知っているという方は、80.0%だった一方で、定期的な内視鏡検査を行っている方は、51.3%に留まりました。胃がんのリスクを理解しているものの、対策・予防を行っていないということがわかりました。

胃がんの原因といわれている、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)。ピロリ菌への感染が確認されたら、除菌治療をすることができます。ただ、除菌治療をしても、胃がんにかかる可能性はゼロではありません。除菌時に高度の萎縮性胃炎を起こしていると、胃液が弱酸性になり、毒性を持つ口腔由来細菌のグラム陰性菌が胃で生息し、がんの発生を誘発する可能性が考えられています。


■コメント
<除菌後も胃がんリスクは除菌前の7割程度残存、内視鏡検査は必須>
日本人の3大疾病の1つであるがん。胃がんの死亡者数は、ここ数年、毎年4万人前後で推移しているものの、40年前と比べると減少しています。Take Sらの研究1)によると、胃がんの原因であるピロリ菌の除菌治療をしなかった場合の胃がん発生率は年間0.5%、除菌治療後の患者を20年間観察すると胃がん発生率は年間0.35%、と報告しています。これは、除菌治療が一定の効果を示し、胃がん死亡者数が増加していないとも読み取れます。しかしながら、除菌をしなかった場合に比べ3割ほどの減少であり、除菌治療開始当初に期待されたほどの大きな減少とまでに至っていないのは事実です。

ピロリ菌は、1980年代半ばに発見され、慢性胃炎や胃十二指腸潰瘍の原因であることが判明。その後、胃がんの原因であることも明らかになりました。抗生物質と胃酸分泌抑制剤を用いた除菌治療は、2000(平成12)年に胃・十二指腸潰瘍に対して保険適用となり、13(同25)年にはピロリ菌感染胃炎(慢性胃炎)にも適用が拡大しました。ほぼすべてのピロリ菌感染者が、保険診療で除菌治療を受けることが可能になりました。ただ、除菌すればある程度罹患リスクは下がりますが、胃がんの可能性がゼロになるわけではありません。そのため、除菌後も1~2年に1度は、内視鏡検査を受けることが大切です。

<萎縮性胃炎があると胃液が弱酸性に>
特に、ピロリ菌の除菌時に萎縮性胃炎があった場合は、胃がん発症のリスクが高まります。萎縮性胃炎を起こしていると、ピロリ菌の存在にかかわらず、胃がんを発症することがわかっており、ピロリ菌以外の要因があるのではないかと、近年予想されるようになりました。本来、胃粘膜はつやを帯びて厚みがあり、ヒダもはっきりしています。しかし、萎縮するとヒダが消失したり、粘膜が薄くなって血管が透けてみえたりするようになります。加えて、胃酸分泌細胞も減少するため、胃液の酸性度も大きく低下します。

実は、胃酸分泌の低下により、ピロリ菌以外の胃内細菌が増加しているという報告があるのです。通常、健康な人の胃内は、pH値1~2の強酸性の胃液が分泌されています。胃液1mLあたりに検出される細菌数は1,000個以下です。ところが、pH値5~6の弱酸性になると、胃液1mLあたりに検出される細菌数は100万個以上になります。この顕著に増加した細菌は、口腔由来で、低胃酸状態の胃では死滅せずに棲息しているのです。


<口腔内由来の発がんを促進するグラム陰性菌が胃内に棲息>
口腔内には、グラム陰性菌やグラム陽性菌といわれる、さまざまな常在菌が存在しています。中でもグラム陰性菌は、細胞壁にリポ多糖(以下、LPS)という菌体成分を持つ点が特徴です。
LPSは発熱、炎症を引き起こすことで知られている菌体由来成分。ごく少量でも、発がんを促進させることも近年の研究で分かってきているのです。これが胃粘膜の炎症を惹起し、胃がんを誘発する一因になると推測されています。
私どもの研究班では、ピロリ菌除菌後の男女136人(平均年齢62歳)を対象に、胃液を採取しました。その結果、50人が萎縮性胃炎と診断され、胃液酸性度の低下が認められました。さらに、pH値とLPSの活性を測定したところ、この2つには強い相関関係が認められたのです。【図表1】

【図表1】pH値とLPS活性の相関関係が明らかに
図の説明:胃液pH値(横軸)が上昇(=胃液酸性度が低下)すると、胃液中のLPS活性(縦軸)が増強する。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/316523/LL_img_316523_3.jpg
図表1

(研究結果より)

さらに【図表2】の上段に示したように強酸性胃液群(計8名、平均pH値1.6)ではLPS活性は全てが<0.1とLPS活性は検出されませんでしたが、下段に示した弱酸性胃液群(計8名、平均pH値5.0)では平均値102.6と高いLPS活性が検出されました。この2群について、胃液、唾液の細菌群集の中のグラム陰性菌の割合を調べたところ、強酸性胃液および弱酸性胃液の中のグラム陰性菌の割合は平均で、それぞれ37.3%および65.4%でした。一方、唾液中の割合はそれぞれ、65.2%、65.6%とほぼ同等でした。

【図表2】強酸性および、弱酸性胃液に存在するグラム陰性菌とLPS活性

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/316523/LL_img_316523_4.jpg
図表2

(研究結果より)

したがって、弱酸性胃液の胃では、グラム陰性菌優勢の口腔内細菌が、胃に移動しても胃酸で殺菌されず、そのまま生存していると推測されるのです。胃液の総細菌数は、弱酸性胃液群では強酸性胃群に比べて約1,000倍多く、かつグラム陰性菌の割合は【図表2】から約2倍であったことから、弱酸性胃液を持つ人では、グラム陰性菌数は約2,000倍多いと推定されます。このことから、弱酸性胃内において高いLPS活性が起こり、ピロリ菌の除菌後であっても胃がんを発生させると考えられるのです。

<プロバイオティクスが胃液の酸性度を復活か>
ピロリ菌除菌後の胃がん予防としては、胃液酸性度を低下させないことが大切になってきます。そこで、注目すべきは、プロバイオティクスの働きです。プロバイオティクスとは、人や動物に投与した際、健康に好影響を与える生きた微生物、あるいは生きた微生物を含む食品、菌体成分のことです。なかでもLG21乳酸菌は、胃酸に強くて胃の中でも生存し、ピロリ菌を抑制することが知られています。このLG21乳酸菌が、ピロリ菌除菌後の胃がん予防に及ぼす可能性について、研究したデータがあるのです。萎縮性胃炎のために、胃液が弱酸性となり、LPS活性が上昇している40~50歳代の男女10人に、LG21乳酸菌を含むヨーグルトを1日1個、3か月間摂取してもらいました。
摂取前と3か月後に、胃液を採取し、pH値とLPS活性を測定したところ、10人中8人で、胃液のpH値が下がり、酸性度が復活したのです。注目すべきは、このような事例では、例外なくLPS活性も減弱し、ほとんどの場合、検出できないレベルに低下していました。【図表3】

【図表3】LG21乳酸菌が胃液pH値とLPS活性に及ぼす効果

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/316523/LL_img_316523_5.jpg
図表3

(研究結果より)

このことから、萎縮性胃炎等で胃液の酸性度が弱まり、LPSの活性度が増強している人が、LG21乳酸菌を継続摂取すると、酸性度が復活し、LPS活性が減弱するため、ピロリ菌除菌後の胃がん発症の予防に役立つことが期待されているのです。

【文献】
1) Take S, Mizuno M, Ishiki K, et al.Risk of gastric cancer in the second decade of follow-up after Helicobacter J Gastroenterol 55: 281-288, 2020.


■一般社団法人日本プロバイオティクス学会
プロバイオティクス、さらに付随するプレバイオティクスの基礎臨床研究および製品開発を支援することを目的として設立され、その目的に資するため、学術集会の開催、学術誌の刊行、プロバイオティクス・プレバイオティクス製品開発への助言、国内外の関連学会との交流等を行っている。

理事長:古賀 泰裕(こが やすひろ)

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/316523/LL_img_316523_6.png
古賀 泰裕

一般社団法人日本プロバイオティクス学会理事長。
1978(昭和53)年、九州大学医学部卒業、同大学院にて医学博士取得。1991(平成3)年、九州大学生体防御医学研究所助教授を経て、1993(平成5)年、東海大学医学部感染症部門教授。2018年、定年にて退任。引き続き、同医学部消化器内科学客員教授。1998(平成10)年に現在の日本プロバイオティクス学会を設立し、理事長として同学会の発展運営に努めている。現在はプロバイオティクスの研究開発に従事。ピロリ菌の活性を抑制する作用で知られるLG21乳酸菌の第一発見者。著書:毎日新聞出版「プロバイオティクス物語」、
シナジー社「医科プロバイオティクス学」など

調査名 :「ピロリ菌除菌後の実態調査」
調査対象者:ピロリ菌除菌済みの全国の40代~70代男女
調査手法 :インターネット調査
調査時期 :2022年6月24日(金)~2022年6月25日(土)


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